制作とは


 夢か現実か判断できなくなる程、現実感のある夢をたびたび見ます。
 この経験から、今まで当たり前だと思って気にもとめなかった何気ない日常の繰り返しが、二度と戻らない大切な一瞬の積み重ねであると意識するようになりました。

 朝が来て、夜が来ること。眠ることができて、目覚めることができること。人と話すこと。歩くこと。これらすべてが素晴らしいことだと思えました。
 現実の大切さに気づくと、興味の対象が現在という時間と空間になりました。時間が存在する限り不変なものは何もなく、世界は常に変化しています。


 私は目の前の場景と向き合い、自分自身の感覚に即して、場景の持つ雰囲気をとらえてかたちにし、そのときに得た感情がどのようなものだったかを把握しようと試みています。

 私が直感でとらえた場景の雰囲気は、目に見て、または触って説明することはできません。
 そのような曖昧な存在である雰囲気が、ガラスによってひとつの現実的な現象であるかたちとし表現され、私にとって実感のある現実の記録となって、現在という時空間に還元されます。その過程こそが、私の一連の制作です

 私の作品が、見る人々の記憶を呼び覚まし、想像を広げるきっかけになればと願っております。